移住と仕事のリアルインタビューVol.4
今回インタビューに答えてくださったのは、ファルクさんと、まゆさんご夫婦。空き家バンクで築66年の古民家を購入し、2021年4月に移住。現在、美郷町歴約半年になります。20代のお二人が美郷町の移住を決めた理由や、美郷町でどのようなお仕事をされているのか、お二人のご自宅でお話を伺いました。
移住先の選定は有機農業に適しているかどうかの視点で。土地の恵みを最大限に生かす生き方を
――まず、お二人のお仕事について教えてください。
ファルクさん「有機農業をしています」
まゆさん「オンラインでリモートワークと、日本語教師をしています」
ーーお二人はどちらのご出身ですか?
ファルクさん「トルコです」
まゆさん「育ったのは大阪です。美郷に来るまでは、進学した大学のあった北九州にいました。」
――なぜ美郷町に移住されたのですか?
ファルクさん「もともと、日本の田舎に興味があり、美郷町に来る前に、どこが生活しやすいか、農業をするのにどこの気候が合っているか、北海道から沖縄まで検討しました。そしてあまり寒くない南九州、なかでも宮崎が良いと言うことになり、自分たちの条件に合っていたこと、物件に巡り会えたことで、美郷町への移住を決めました。」
――宮崎は暖かいというイメージが強いですが、お住まいになっている美郷町南郷は、冬寒いことで有名ですが、大丈夫ですか?
「平気です。私の住んでいたところは、夏は極端に暑く、冬は極端に寒くて、マイナス30度くらいになりますから。」
――畑は購入されたのですか?
「はい。家の購入と合わせて、一反ほどのお茶と栗の畑を購入しました。」
★補足:通常、農地の購入は、農家でないとできませんが、美郷町では、移住者は物件に付随する農地は購入することができます。
――何を作る予定ですか?
「特別な物ではなく、日常的に食べる野菜をいろいろと。冬はキャベツ、タマネギなどを作る予定です。夏はオクラ、トマト、豆、なすなどを作りました。オクラはよくできました。オーガニック栽培をしていて、種ができたものは、来年また植えたいと思っています。
この白い豆は、大分で購入して植えて収穫しました。茹でて、挽肉と塩こしょう、唐辛子、クミンで炒めるのが定番です。」
――おいしそうですねー!豆料理は私も大好きです!
――農業は順調にできていますか?
「まだ分からない事も多いですが、地域の人が声をかけてくれます。獣よけのフェンスを作ったり、鶏小屋の網貼りの手伝いをしながら、いろいろ教えてもらっているところです。
先日、お手伝いにいったところで、鶏を三羽もらいました。毎日卵を二個ずつ産んでくれるので、毎朝新鮮な卵が食べられます。」
冬作のキャベツのほか、まゆさんの大好物だというイチゴの苗も作ってありました。食べる人と、野菜への愛情が伝わってきます。
美郷町なら、町が設置した光ケーブルでリモートワークも問題なし!
――まゆさんのオンラインでのお仕事はどういうものですか?
「通常の企業に勤めているのと同じです。9時から18時が就業時間です。美郷町に来てから、リモートでも可能な仕事を探して、就職しました。こういう働き方が選択できるようになったのは、ある意味、コロナのおかげかなと思います」
――美郷町でのリモートワークは、不便なことはないですか?
「全くありません。美郷町は、ケーブルが整備してあるのでインターネット環境に問題はありませんから。」
――日本語教師のお仕事は個人的にされているんですか?
「そうです。個人での仕事です。留学先で知り合った方から、日本語を教えて欲しいと言われたのがきっかけです。今では日本語教師の資格も取り、外国に住んでいる方とスカイプなどを使って、オンラインで日本語指導をしています。
――これからも生徒さんを増やして行く予定ですか?
「いいえ。実は、美郷町に来てから、町民の方に英会話教室をやって欲しいとリクエストされています。移住してから、町の人にお世話になっているので、少しでも貢献できたらということで、英会話教室にシフトしようかと思っているところです」
――それは嬉しいですね!私も習いたいです。
「美郷町へ移住したいという友達がいて、その子も英会話教室に興味があるみたいなので、一緒にできたら楽しいなと思っています」
戸惑いつつも、理想の田舎暮らしへ一歩ずつ【山道運転は移住必須スキルでした…】
――美郷町でお仕事をするメリットはありますか?
「土地の価格が高くないところですね。畑も家も割と安く購入できました。また、畑は既にできあがっているところを購入できたので、自分たちでゼロから耕さなくても良いところが助かりました。」
――反対に美郷町ならではのデメリットはありますか?
まゆさん「買いもの環境が不便なところです。山道の運転に慣れないうちは大変でした。都会のような買いもののしかたはできないですね。今は、街部でのまとめ買い、ネットショッピング、近くの商店での買いものを組み合わせてやりくりしています。」
ファルクさん「美郷町ならではというか、日本で一番つらいのは夏の湿度ですね。トルコはほとんど湿度がないので、体が慣れなくて夏は体調を壊してしまいました。」
――南郷は特に雨が多い地域なので、それは大変ですね。
――移住をしたい方へのアドバイスはありますか?
ファルクさん「田舎は車社会なので、運転免許は必須ですね。できたら軽トラがあれば、なお良いと思います。それから、インターネット環境があるかどうか、また、近くの買いものができる場所までどれくらい離れているかをよく調べておくことが大事だと思います。
それから、お試し滞在施設に一週間くらい滞在して、町の雰囲気を知ることもお勧めします。」
どこまでも広がる緑に憧れて。移住してからの美郷町暮らしはとっても満足!
――移住して理想の暮らしができていますか?
ファルクさん「はい。もともと海外には興味があったのですが、グーグルアースで、緑色に覆われた日本を見て、日本に来てみたいと思っていました。実際に日本に来てからは、どこまでも山があって、どこまでも緑が広がっていて感動しました。
トルコは、緑の山もありますが、砂漠もあります。木々は高さが低くて、日本の森とは少し違います。
ここ美郷町は自然が豊かで大満足です。私は、自転車であちこちするのが好きで、この前は自転車に乗っていたら野ウサギに遭遇しました。シカやイノシシにも会いました。あとはサルに会ってみたいです。」
どこまでも広がる緑の森。確かに、世界中を見てみると当たり前の物ではない事に気づかされます。豊かな自然と、私たちの暮らし、どちらも大切にしたいものですね。
リモートワークなら移住先を選ばない。仕事にとらわれず、好きな場所で生きていく。
お二人を見ていると、場所にとらわれず、ワールドワイドにお仕事をされる奥様と、大地の恵みを最大限に生かし、足下から着実に種を蒔くご主人は対照的。それでいてお二人で同じ方向を向いて、美郷町の暮らしを楽しんでいらっしゃるように感じました。
リモートワークが普及してから、どこに住むかという選択肢が広がりましたね。移住時の仕事の選択肢の一つとして、リモートワークも十分検討の価値があるようです。仕事のために住む場所を選ぶ時代は、もう古いのかもしれません。
まゆさんのように、美郷町での自然に囲まれた日々を楽しみながら、都会のお仕事をする方が増えるとよいなと思います。
ファルクさん、まゆさんありがとうございました。この冬もおいしい野菜ができるといいですね。