移住者憧れの古民家カフェ・おなかと心が満たされる慈しみのTaliKasih

タリカシのヴィーガンランチ移住と仕事のリアルインタビュー

移住と仕事のリアルインタビューVol.3

今回お話を伺ったのは、美郷町北郷黒木地区で、古民家を改装したカフェを経営されている、堤咲子さんです。堤さんは、12年前にご家族で熊本市から移住してこられた、いわば美郷移住のパイオニアのお一人。

咲子さんが経営されているCafe&goods TaliKasih(カフェアンドグッズ タリカシ)でランチをいただきながら、お話を伺いました。

カフェを始めたのは、移住先に自然の恵みが溢れていたから

タリカシのへべすのフォー

固定メニューなし。そのときのおいしいものが並ぶ幸せ

TaliKasihさんは、野菜や山菜の育ち具合が優先!固定メニューなしの、おいしいものならなんでもござれスタイル。早い者勝ちでリクエストを受けてもらえるので、ご予約はお早めに。

今回のランチは、私のリクエストでヴィーガン、詳細はお任せで。ワクワクして待っていると、並んだのは、

へベスのフォー、生春巻き(へベス胡椒の入ったごまだれ)、こんにゃくと四角豆の天ぷら

暑い日なので、さっぱりしたフォーがつるつる入ります。特に印象的だったのが、食用ほおずきトマトと、茹でたニラの花蕾。ほおずきはミニトマトよりも味が濃くて甘い!ニラの花蕾は、青物の少ない夏に嬉しい爽やかさ。ごまダレとよく合います。

細胞の一つ一つまで栄養が行き届きそうな、滋味深いお料理ばかり。

大切に作られたはお料理を食べると、自分が大事にされている感がするんですよね~。ああ、幸せ。

ハンバーガー作るなら、酵母おこしからはじめたい

ーーーどうしてこういうスタイルになったのですか?

「移住してきて、近所の人からたくさん作物のお裾分けをいただいて、これを無駄にしたくないという思いから、飲食店を始めました。」

ーーー野菜は全部自家菜園で作っているのですか?

「知り合いの有機農家さんの野菜を使うこともありますが、自分で作れるものは、なるべく自分でつくりたいと思っています。ほおずきトマトも種から育てました。

野菜だけじゃなくで、何でも作れるものは手作りしたいと思っていて、ハンバーガー作るなら、バンズも自分で作りたい。バンズ作るなら、酵母から作りたい、そう思っています。」

ーーーどのように野菜を育てていらっしゃるのですか?

「バイオダイナミック農法です。種まきカレンダーを参考にすると、草むしりも収穫も、自然のリズムに合わせて行えるので、なんだかいいんです。

全ての仕込みと、メニュー作りに迷ったときも、カレンダーを参考にしています。保存食を作る日も、このカレンダーを参考にすると、失敗が少ないように感じます。」

※バイオダイナミック農法は有機農業の一つでシュタイナーが考案したものです。

ーーーお店の仕込みをしながら、畑仕事をするって大変だと思うのですが

「大変です(笑)だから、営業日は週に3日。残りの日は畑仕事したり、仕込みとか、季節の保存食の仕事とかをしているんだけど、けっこうばたばたしています。」

コアなファンがいれば立地は問題なし。たとえ移住先が田舎でも

手作り石鹸など雑貨が並ぶ

コンセプトに共感してくれるお客様は、遠方からでも何度も来店して下さる

ーーー大事に時間をかけて作っていただいたお料理って、いただく側からすると感謝しかないんですが、経済性を考えると、成り立ちにくいと思うのですが…

「そうですね。何でも時間をかけてやるから、同業者の方にはあきれられます。

だけど、利益だけを追求すると楽しくないですから。

それに、たくさんお客様に来てもらおうと思うと、どうしてもロスが出てしまいます。とにかく、命は無駄にしたくないんです。」

ーーーどういうお客さんが多いですか?

「近所の方よりもわざわざ町外から来て下さる客様が多いです。

私たちがイベントなどで、いろいろなところに行くと、いろいろな方との出会いがあって、コンセプトに共感された方がわざわざ来て下さるので、うれしいですね。」

ーーーお店のファンの方なんですね

「私のスタイルを理解して、オーダーして下さるお客さんがいらっしゃるって事は、すごく励みになります。コロナでお客様の数は減りましたが、逆に、そういう方とは深いつながりを持てているように感じます」

人間らしい暮らしがしたくて…移住に求めたのは井戸、薪、畑、山の生活

パンを焼くための石窯の薪オーブン

サーフィンの道すがらに出会った、運命の古民家

ーーー咲子さんが美郷町に来たきっかけなどを教えて下さい

今の家は、サーフィンをするために熊本から日向まで行き来をしている途中で見つけました。今みたいに空き家バンクなんて無かったから、自分たちで、ここ空いていますかって聞きました。」

ーーー美郷町に来ることに抵抗はなかったですか?

「無かったです。海も近いし、薪の生活、井戸の生活、畑付き、山付きという私の理想の暮らしが揃っていたから。いろいろなことは、移住してから知ったという感じです。

ずいぶん、ガスやボイラーも使うようになったけど、今もパンは石窯のオーブンで薪で焼いています。オーブンも手作りです。薪だと、温度が安定しないし、タイマーもない。経験で覚えるしかありません。」

ーーーお仕事をする上で、美郷町ならではの魅力はありますか?

「自然の恵みがたくさんあるところです。春には山菜、秋にはムカゴ。今の時期なら、イヌビワとか。イヌビワは発酵させて、ジャムにしています。ゼンマイはいっぱいとれます。下処理してアチャールにしたり、パスタにしたりして、たくさん使います。」

移住したらジャンベの練習をしようと思っていたけど…田舎生活は結構ハード

ーーー移住して、思い描いていた生活ができてますか?

「今は人間らしい生活ができているなと思います。

熊本の町の中に住んでいたときは、家賃のために働いて、隣が近いから、周りに気を遣っていました。ジャンベの練習をしたいと思っていたけど、できなかった。

ただ、移住して、隣家は遠くなったけど、畑の草むしりや、季節の仕込み仕事がてんこ盛りで、それはそれで練習できてないけど…。(笑)」

―――移住してきて困ったことはありますか?

「山ほど(笑)まず買い出しが不便だし、銀行もないし。病院も近くにはないから。逆に健康管理はしっかりするようになりました(笑)」

移住するなら、近所づきあいはしたほうがおトク!

手作りの保存食の瓶が並ぶカフェ

ーーー移住したいと思っている方にアドバイスはありますか?

「田舎暮らしは体力が勝負です。お年寄りもみんな元気で、時間の使い方も上手ですよ。

あとは、人付き合いを避けたいと思って移住してくる人もいるかもしれませんが、近所付き合いはしたほうがおトクです。

移住先には地域の組合活動や消防団活動など、色々あると思うんだけど、そこからつながるお付き合いがあるから。移住先独特の知恵や情報を教えてもらったり、郷土料理を習ったり、協力者が増えたり。

こっちも、そういう活動に参加すること自体が、移住地域への貢献になります。

してもらうだけの立場から、一緒にする立場になって、要は、地域になじむのに一番手っ取り早い!」

確かに移住は体力勝負ですよね。私もひしひしと感じでおります。移住を希望される方は、体力作りは入念に!または、体力があるうちにお早めに。

咲子さん、たくさんのお話と、おいしいお料理、ありがとうございました!

この記事を書きながら、TaliKasihさんのお店や、お料理、咲子さんを表すのに、「慈しむ」という言葉がぴったりだなぁと思っていたのですが、はたと膝を打ちました。Tali=慈愛、Kasih=絆。名は体を表すとはこのことですね。

これからも心と体が癒やされるお店を、続けていって下さいね。

咲子さんの素敵なお店へのリンクはこちらから Cafe & goods Talikashi

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