移住と仕事のリアルインタビューVOL.2(後編)
移住して炭焼きに挑戦し続ける、ハードコアロックバンドギタリスト・濱田さんのインタビュー後編。前編「ハードコアパンクギタリストが移住先で選んだ仕事は備長炭職人」を読んでいない方はそちらからどうぞ!
移住先ではライフスタイルも価値観も変わるから
―――移住したい方へアドバイスはありますか?
「移住は一長一短。街の生活も良かったと思うこともあるし。よく考えて欲しい。
確かに、ライフスタイルは変わるよね。
田舎はコンビニ等が少ないから、弁当と水筒持って動くようになって、ジュース代わりにミカンとか食べてると、なんか健康だなって思っちゃう。
満員電車も渋滞もないし、都会とは全然違う生活をおもしろいって思えるといいよね。
移住で大事な事は、移住の目的をはっきり持つこと、自然が好きなこと、それに、家族の理解。
反対に、近所づきあいが駄目な人には移住はお勧めしないね。」
移住に家族の理解は欠かせない
―――家族の理解ですか?
「そう。妻は富山の出身で、こっちに戻るって説得するのに2~3年かかって、仕事が軌道に乗るまでは喧嘩もたくさんしたね。
でも、炭焼きは一人じゃ大変だから、妻がいてくれて、助かってる。窯の仕事はもちろん、原木を切ってくるときなんかは、一緒に山に入ってくれるからね。
伐った木を斜面を転がして下に落とすことを「まくる」って言うんだけど、とっても重たい生木をまくって、軽トラに一緒に乗っけて。
スキーやったり、バイクでキャンプツーリングをしてたからアウトドアは大好きだけど、仕事になるとノリが違う(笑)ワイルドに近づくのは厳しいんだと実感しました。
東京にいたときは考えられない別世界ですね。
きついことばかり言ってるみたいだけど、充実もしてるし楽しんでる部分もたくさんあります!」
厳しい部分も、楽しい部分も、奥様と二人で乗り越えてこられたんだなと、とてもよく分かりますね。きれい事ばかりではないんだろうけど、陳腐な言葉で言うと、絆を感じました。
炭焼きというと、山で一人黙々と焼いている、静のイメージだったのですが、実は師匠や、地域の人たち、家族と力を合わせなければできない、相当ハードでチームワークが必要な仕事だということがよく分かりました。
移住して5年。熱くがむしゃらに働いた
最後に、濱田さんの手を見せていただきました。「職人さんらしい、大きな力強い手ですね」というと、「いやいや、親方の手なんて、グローブみたいな手だよ!」と笑っていらっしゃいました。
濱田さんのお話を聞くと、移住先で仕事を探すことや、一次産業が決して簡単なことではないということがよく分かります。
それでも、濱田さんの前向きな熱い熱いエネルギーが波動のように伝わってきて、もっとお話を聞いていたい、そんなインタビューになりました。
移住し、炭焼きの世界に入って、がむしゃらに働いて5年、やっとペースがつかめてきたそうで、今年は久しぶりにお盆をのんびり過ごしたとか。これはまたギターに触れられるようになる日も近いのかな、ひそかにそう思った次第です。
濱田さん、楽しいお話をありがとうございました。これからも安全に気をつけて、良い炭を焼いて下さいね。